アルミニウムは表面状態が美しく耐食性に優れ、比重が小さいという特性を有しており、さらに一部の合金系を除いて展性や延性に優れ加工性も良いことから、飲料缶や住宅用サッシから航空機や鉄道車両部材まで、幅広い分野において活用されている。

近年では、環境問題意識の高まりによる自動車等の輸送機械における燃費対策の推進により、アルミニウムは軽量化素材として採用が増加している。
なお、アルミニウム材料には展伸用材料と鋳造用材料があり、展伸用アルミニウム合金は主要な添加元素により、1000系から8000系に分類される。

アルミニウム合金の主な種類と特性
1000系 純アルミニウム 純度99%以上の工業用純アルミニウム材料で、強度は低いが加工性や溶接性に優れ、耐食性や熱伝導性も良い。
2000系 Al-Cu系 時効硬化を利用した熱処理合金で強度が高く、ジュラルミンの名称で知られており、航空機用部材などに用いられる。
3000系 Al-Mn系 純アルミニウムの優れた加工性と耐食性を保持しつつ強度を向上させた合金で、絞り加工性に優れ、飲料缶などに使われている。
4000系 Al-Si系 耐熱性が低く熱膨張が大きいというアルミニウムの欠点を解消するために開発された合金で、熱交換機やなどに使われている。
5000系 Al-Mg系 中強度で加工性や溶接性が良く、耐海水性や耐応力腐食性に優れた合金であり、船舶や建材など多方面に使われている。
6000系 Al-Mg-Si系 中強度で押出し性を改善したアルミニウム合金で、板材ではないがアルミサッシに多量に使用されている。
7000系 Al-Zn-Mg系 航空機用として開発され、超々ジュラルミンの7075合金はアルミニウム合金中で最も強度が高く、スポーツ用品にも多く使われる。
8000系 その他 上記の添加元素以外の元素を添加した合金で、航空宇宙分野の部材に用いられるAl-Li合金などがある。

アルミニウム板の絞り加工事例

A1100を使用する絞り製品ですが、アルミニウムは他の素材と比べて強度が低く、加工時にカスも発生しやすいことから、傷や打痕の発生防止に配慮した工程にする必要があります。また、側面の丸孔が大きいため、そのスクラップが詰まらないよう排出方法にも工夫をしています。

材質:A1100、板厚:t=1.0
※画像は、拡大、縮小、回転が可能です。表示されるまでに時間がかかる場合があります。

Loading file