プレス加工とは
プレス加工とは、金属の板を金型で挟み込み、圧力を加えて変形させる加工方法です。高精度かつ均一な製品を大量に生産できる加工方法として、近代産業の発展を支えています。
プレス加工は、塑性加工と呼ばれる加工技術の一種です。塑性とは、物質を一定の力によって変形させると元に戻らなくなる性質のことを指します。プレス加工では、上下に稼働するプレス機によって数トンから数千トンという大きな圧力を加えることで、金属を塑性変形させています。
鉄やステンレスなどの鉄鋼、軽量なアルミニウム合金、導電性や熱伝導性に優れる銅合金などがプレス加工で使用されている主要な金属材料です。材料の特性や板厚によって最適な加工条件が変わるため、材料はプレス加工における重要な要素となっています。
プレス加工にはさまざまな加工方法があり、これらを組み合わせることによって複雑な製品形状を作り出します。加工方法は、次の5種類に大きく分けられています。
- せん断加工:金属の板を切断することで、外形を抜いたり、穴を空けたりする加工
- 曲げ加工:金属の板をV字、L字、Z字などの任意の形に曲げる加工
- 絞り加工:圧力を加えて金属の板を引き伸ばすことで、継ぎ目のない容器形状を作り出す加工
- 成形加工:強度向上や部品の取り付けをしやすくするために、金属の板を変形させる加工
- 圧縮加工:金属の板を圧縮することで、模様を転写したり、一部を薄くしたりする加工
プレス加工において、製品の生産性と品質を大きく左右する最も重要な要素が金型です。プレス金型には、「単発金型」「順送金型」「トランスファ金型」の3種類があります。
単発金型を用いる単発プレス加工は、1つの金型で1つの工程を加工する方法であり、基本的には人の手で加工が行われます。作業者が材料を金型にセットしてプレス機を操作し、加工が終わったら次の材料に交換する必要があるため、工数がかかってしまいます。しかし、金型の構造が単純なため、金型の製造コストを抑えられるというメリットがあります。
順送金型を用いる順送プレス加工は、1つの金型内に2つ以上の工程が設けられており、複数の工程をまとめて加工できる方法です。一度セッティングをしてプレス機を動かせば自動で生産ができるため、順送プレス加工は優れた生産効率を持ちます。一方で、金型の構造が複雑になるため金型の製造コストが高価になりやすかったり、形状の変化の大きい製品は加工できない場合があったりします。
トランスファ金型を用いたプレス加工は、単発プレス加工と順送プレス加工の中間にあたる加工方法です。トランスファプレス機と呼ばれる、送り装置が付いた特殊なプレス機を使用します。異なる工程の単発金型をトランスファプレス機に並べてセットし、一度プレス加工をすると、送り装置が自動で次の工程に材料を移動させる仕組みになっています。順送プレス加工ほど生産効率は高くありませんが、単発金型の組み合わせのため順送に比べ加工上の制約が少なく、形状の変化が大きい製品にも対応できるという特徴があります。
プレス加工メーカーにはそれぞれ得意分野があるため、生産効率を考慮しつつ高品質かつ高精度な生産を実現するためには、作りたい製品を得意とするメーカーに依頼することが重要です。プレス加工メーカーに依頼する際には、業界・材料・板厚・加工内容・加工精度・金型の種類・保有するプレス機の種類といったポイントを踏まえてメーカーを選定します。
長野サンコーのプレス加工技術
一貫生産体制
金型の設計・製作からプレス加工までの一貫生産体制を構築しており、量産における改良点などは速やかに金型へフィードバックし、継続的に改善することが可能。また、試作は量産加工を前提とした工程にて対応するため、試作で露見した問題点などは漏れなく量産金型へ織り込むことができ、最短で円滑な量産立上げに貢献します。
さらに、プレス加工後の表面処理や熱処理などの工程についても、協力会社を通じての一貫対応が可能な生産管理体制になっております。
豊富な技術ノウハウとデジタルテクノロジー
創業から半世紀を超えて蓄えたプレス加工技術に3D-CAD/CAMや成形シミュレーションシステムなどの最先端デジタルテクノロジーを融合させることにより、長年のノウハウを基盤に最新技術を盛り込んだハイスペックなプレス金型を安定的に製作することが可能となり、高難度プレス部品の高精度かつ高効率な製造を実現させます。
多種多様な加工方法
プレス機は20t~200tまで多数取り揃え、加工品の形状や生産数などにより、単発加工・順送加工・トランスファ加工から最適な生産方法を選択して対応。また、通常のプレス加工だけでは生産が難しい形状の場合には、二次加工用の専用機を自社で開発して生産対応することも可能です。
厳密な品質管理
品質への高度な要求にお応えするため、ISO9001をベースに技術部門及び製造部門と品質保証部門が密接に連携した品質マネジメントを実践。
精密測定機器による厳密な精度の保証はもちろん、品質会議や品質パトロール等の不具合を未然に防ぐ活動を定期的に実施すると共に、測定方法や測定技術など人的スキルの向上にも力を注ぎ、高い品質の保持に努めております。